今回は計算過程でのケアレスミスを防ぐテクニックその3 代入法です.
これは,計算や式変形を行う前と行った後の文字に同じ値を代入し,その時に両方の式が一致するかを確かめる方法です.
例1
という因数分解の場合,$x=7$を代入すると,下の式の左辺は0になります(等式が成り立つ) .
これを上側の式に代入すると$7^2-3\times 7-28=0$となり,同じく0になっています(等式が成り立つ).
例2
$n=1$を代入すると,左辺は$\sum_{k=1}^{1}=1$,右辺は$\frac{1\times2}{2}=1$となり一致します.
この方法のメリットは計算が比較的簡単なことです.
ただし,代入する値によって計算の難しさは変わってくるので,できるだけ計算しやすい値を代入するといいと思います.
もうひとつのメリットは離れた数式でも比較できることです.
どういうことかというと,$A=B=C=D=E$と変形があった場合,これまでの反復法,逆戻り法では前後の数式同士の比較になっていたのですが,代入法の場合はAとEにそれぞれ代入することで離れた数式でも確認できます.
また,”問題と答え”でも確認が可能です.
例えば問題文中で$a_1=1$とされている数式の一般解を求める問題で,
と求めたとすると,一般解に$n=1$を代入した時の値は$a_1=2$となるためこの答えは間違っているとわかります.
また,確率の問題でも,$n$を用いた答えの場合には$n=1$などの値を代入することで,確認するといいでしょう.
この方法のデメリットは,間違いが見つかるかどうかわからないところです.
代入した時に一致しなければ間違っていると言えるのですが,一致したからと言って間違えていないとは言えません.
たまたま代入した値の場合は一致したけれども,他の値の場合には異なっている,ということがありえるからです.
ですが,複数の値を代入することで,”本当は間違っているのに見つけられない”という割合を減らすことができます.
3種類の値を代入してあっていれば,正しい割合はかなり高くなると思います.
文字を含んだ答えの場合には,3種類の値を代入して確かめる,ということをやってみてください.
今日のポイント
代入法(計算を行う前と行った後の文字に同じ値を代入し,一致するかを確かめる)